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漆かぶれはこわい?
こわがらずに、上手に慣れていきましょう

「金継ぎ」を楽しむ多くの人が悩まされるのは、漆による「かぶれ」です。漆かぶれ(漆性皮膚炎)は、漆液が皮膚に付いたときに起こる炎症で、その原因は主成分のウルシオール。症状として、皮膚に付いて数時間から一週間程度の潜伏期があり、瞼や首、手足、腹部などの皮膚がやわらかい部分に痒みを伴った小水疱疹ができます。「数日で最もひどくなり、その後減退し、十日くらいで傷跡を残さずに治る」というのが一般的です。しかし、個人差があり、全くかぶれない人もいれば、ひどくかぶれる人もいます。

漆かぶれにビックリして皮膚科に行っても、医師に漆への知識がないことが多く、一般的なかゆみ止めを処方されます。沢蟹を潰した汁やスギナの汁など、言い伝えは多々ありますが、効果は・・・。漆かぶれについては、泣き笑いの逸話がいっぱい。実際にかぶれた方々に話を聞いてみましょう。

会員50人へのアンケート
漆にかぶれますか?

アンケートグラフ

いまでは慣れました

Aさん(天神教室)

最初、病院で血液検査までしましたが原因不明といわれました。ゴム手袋、終わったら油を塗って手を石鹸で洗う。エプロン・アームカバーが大切。

ビワの葉のエタノール漬けは効果大

Bさん(小倉教室)

赤く腫れ、ひどい痒みに夜、目が覚めます。漆がついたら、油でそのつど拭き、洗剤で二度洗い。ビワの葉のエタノール漬けで痒み止めを作っています。効果があります。

体調が悪いときは
作業をしない

Cさん(天神教室)

金継ぎを始めて半年目に油断していたらあちこちかぶれ、三週間ほど苦しみました。もちろん、病院に飛んでいきましたが、効果はムムム・・・。漆がついたら油で洗い、体調が悪いときは作業をしない、など気をつけています。

ドジョウはどこ?

Dさん(天神教室)

金継ぎを始めた当初は、満身創痍でした。ただならぬ痒みと水疱。病院はもちろん、一般療法で良いといわれるものは、ほとんど試しました。嘘か本当か、ドジョウのぬめりがいいと聞き、川へ探しに行ったのですが、何処にいるのかわからず終日川遊び。いまもかぶれるのですが、金継ぎをやめようと思ったことは不思議とありません。

気にならなくなりました

Eさん(天神教室)

三ヵ月たって、手にでました。ようやく、入門かと感じました。一応、病院に行きましたが・・・。その後はさほど気にならなくなりました。

かぶれたのは一度だけ 、
ムヒS液が即効性

Fさん(天神教室)

絶対にかぶれないと思っていたら一年半後、腕にぶつぶつ。一週間で良くなり、その時だけの体験です。

作業終了後、
油で手指の清掃徹底

Gさん(天神教室)

「初めてのかぶれ」ではと頭皮から身体全体に発疹。三ヵ月はひどいものでした。予防方法としては、ゴム手袋に腕カバーは必須。でも、金継ぎをやめようと思ったことは一回もナシ。

馬油を塗って、
リバテープ *

Hさん(天神教室)

痒くなったら馬油を塗り、掻きむしりたくなるのでリバテープをします。最初のかぶれで皮膚科に行ったら、止めないかぎり治らない、と宣告されましたが、いまに至っています。

体調が悪いときにかぶれるのでは

Iさん(天神教室)

かぶれたとき皮膚科で薬をもらいました。いまだに対処法はわかりませんが、体調が悪かったり、疲れたときにかぶれやすいような気がします。*

免疫ができたのでしょう

Jさん(天神教室)

10数年前、最初にほぼ全身がまけました。直るのに2週間かかりました。それ以降は、漆が付いたら油で拭いて洗い、全くかぶれません。最初で免疫ができたのでしょう。

10年目で初めて
かぶれました

Kさん(小倉教室)

漆に触ってもまけたことがなく、自分はかぶれない体質と思っていました。ところが2ヵ月前、初めて手首に水泡ができ痒い。大したことはありませんでしたが、痒かったです。

意外にもかぶれない
タイプでした

Lさん(小倉教室)

最初、先生から脅されて漆を扱うのにこわごわでした。回を重ねるごとにゴム手袋なしでも「あれ、大丈夫タイプなんだ…と」。

漆に負けない方法は

  1. 漆に直接触れないこと。(ゴム手袋着用・アームカバー着用)
  2. 漆が付いた場合は、こまめに油でふき取る。
  3. 作業を終えたら、手や腕を油で拭き、石鹸でていねいに洗う。

ひたすら治癒を待つだけです。
みなさんの話を総合すると、はじめてかぶれたときがいちばんひどいようです。徐々に漆の扱いになれ、かぶれなくなるようです。免疫がつくような気もしますが、つかない人もいて、謎です。ただし、漆かぶれで皮膚に跡が残ることはほとんどないようです。